犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

建物賃貸借立退き事案(賃借人側)

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神田 元 弁護士が解決
所属事務所神田元経営法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

相談者である会社は、都内中心部3区に所在するビルに貸室(事務所使用)として10数年賃借していましたが、賃貸人からビルを取り壊してマンションを建築するので立ち退いてほしい、立退料として1000万円程度提供するといわれました。しかし、相談者としては、長年同じ場所で営業していたので、他に転居するとなると客離れとか相当経営に影響が出ると見込まれるので、どのように対応すればよいか相談がありました。

解決への流れ

まずは、相談者に貸室を出ていくとは言わず、「ずっとこの貸室に居させてください。」という対応を賃貸人側にするように指示しました。そうしますと想定通り、賃貸人は、簡易裁判所に調停を申し立てましたので、私が代理人として付くことになりました。当方としては、賃貸人の立退き請求には借地借家法上の「正当事由」がないことを強く主張しまして、調停の途中で賃貸人側がビルを第三者に売却した事情もあり、結局、新賃貸人との間で立退料2億円で調停が成立し、解決しました。

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神田 元 弁護士からのコメント

建物の普通賃貸借においては、契約期間が満了となったとしても単純に賃借人が建物を明け渡すことはありません。借地借家法28条においては、「・・・建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件としてまたは建物の明渡しと引き換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申し出をした場合におけるその申し出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなけければ、することができない。」と規定されています。ちなみに、「財産上の給付」のことを、通常「立退料」と呼んでいます。そこで、建物の賃借人としては、賃貸人側に正当事由がないことを主張し、正当事由が足りないことを保管するための「立退料」については、賃借人として立ち退くことによる不利益について金銭化して主張することとなります。「立退料」は、本案件のような商業テナントの場合、①転居先賃料との差額の補償、②未償却資産の補償、③引越しに係る費用、④営業補償の合計額となります。今回の案件については、④の営業補償の算定が問題となりましたが、当方の主張する営業補償額について、調停委員が賛同してくれ、①-②の総額2億円という金額で調停が成立したものです。商業テナントの立退き交渉においては、「営業補償」が一番問題となりますので、賃借人側とするといかに立退きにより営業上の損失を被るかを主張・立証していくかがカギとなります。