この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
家族が逮捕された,逮捕された家族は,犯罪につき心当たりがないと主張している。できるだけ早く家に帰れるようにしてほしい,との相談でした。
解決への流れ
相談直後に接見に行き,逮捕の根拠となった犯罪についての考えを聞いたところ,「身に覚えがない」と話しておりました。もっとも,ご相談いただいた家族の話や接見の際の様子から,本当は,犯罪について心当たりがあるのではと感じられました。当然,弁護人は,被疑者のミカタですから,接見の際に被疑者を追及することはぜす,「身に覚えがないのであれば,絶対にやったと認めてはいけない。厳しい取調べが続くと思うが,頑張って耐えるように。毎日接見に来る」と伝えております。その後,相談に来た家族の方と打合せをしたところ,「身に覚えがない」と話していることにつき,認めてしまった場合の家族への影響を懸念し,否認しているのではと感じられました。そこで,次の接見の際に,「家族は,あなたを信じている。もっとも,もし,家族の仕事のことを心配して,無理をしているようであれば,安心してほしい。家族の仕事には何の影響もない。あなたの家族は,あなたが無理をしているのではないか,何かを抱え込んでいないかとても心配していた。」と伝えたところ,被疑者は,涙を流しながら,「ごめんなさい。本当は,やりました。私が犯罪を認めると,家族の仕事がなくなるんじゃないかと思い,どうしたらいいかわからなくて『身に覚えがない』と話してしまいました。」と話し,その後の取調べでは,事実を認める供述をしました。その結果,事実を認めてから間もなく,身柄の開放がなされ,在宅での捜査に切り替わりました。
このケースは,被疑者の家族の方から,被疑者の性格等について十分に聞取りを行い,被疑者の抱えている悩みを解決した結果,無理な否認を止めさせることで,早期の身柄開放がかなった事案です。弁護人は,被疑者の味方ですから,被疑者が否認していたとしても,被疑者を追及して自白をするよう説得したりはしません。もっとも,否認に不自然な点を感じた場合には,不自然に感じる原因は何なのか,もし無理に否認しているのであれば,なぜ否認をしているのかを探求し,それを解消する必要があります。このケースは,家族からの詳細な聞取りの結果,被疑者の抱えている問題を発見・解消することができた事案です。