この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
依頼者は夫と子ども2人の4人で生活していましたが、持病が悪化したにもかかわらず夫が医療費の負担に応じなかったことから、1人実家に戻って療養生活を続けました。医療費を自分の両親に頼る生活であったことから、夫に支払ってもらうにはどうしたらよいかと弁護士に相談しました。
解決への流れ
弁護士が依頼を受け、夫に対して婚姻費用分担請求の審判を裁判所に申し立てました。審判の結果、夫に月々一定額の婚姻費用(生活費)の支払を命ずる決定が出ましたが、夫がこれに従わなかったことから、夫の給与の差押を裁判所に申立て、夫の給与から毎月一定額が生活費として依頼者に支払われることとなりました。その後、夫側から離婚を求める調停が申し立てられ、更には離婚訴訟となりましたが、最終的には夫の退職金予定額を前提に一定の解決金が支払われることになり、また年金分割も成立して、依頼者の納得のゆく和解離婚が成立しました。
離婚前に夫婦が別居した場合であっても、別居中の生活費(婚姻費用といいます)を相手方に請求することが認められています。「自分から家を出た以上、相手方に請求できないのではないか」と悩まれる方もいらっしゃいますが、そのような事情は生活費を負担しなくてよい理由にはなりません。相手方が任意に支払を認めない場合には、家庭裁判所に調停、審判を申し立てて裁判所の判断を仰ぐことができますし、それでも従わない場合には、相手方の給与等を直接差し押さえるよう裁判所に申立てをすることもできます。本件では、その後相手方から離婚訴訟を起こされましたが、最終的には相手方から退職金予定額を前提とした財産分与がなされることになり、また年金分割も成立して、依頼者の要望に沿った離婚が成立しました。夫の退職金については、夫婦が生活上協力し夫が仕事に専念することができた結果であるとして、離婚時の財産分与の対象になるとするのが一般です。依頼者からも「これからの生活のために本当に助かりました」と感謝の声をいただきました。