この事例の依頼主
80代以上 女性
Aさんが,自転車に乗って交差点に進入したところに,Aさんの右側から加害車両が衝突しました。Aさんはすぐに救急搬送されましたが,亡くなられました。加害者及びその保険会社との直接の話し合いをしたくないというお気持ちから,Aさんのご家族から損害賠償請求についてご依頼を受けました。
ご相談後,まず,被害者請求を行い,自賠責から約1700万円の賠償を受けました。その後,保険会社と交渉を行いましたが,その回答は約30万円という信じられないものであり,裁判となりました。裁判では,①逸失利益(事故が無ければ得ることができた収入等)②逸失利益が認められた場合の生活費控除率③過失割合が特に大きな争点となりました。※生活費控除率とは,被害者が亡くなられた場合には、生活費が生じなくなるため,その分損害額を減殺するという考えであり,50%前後の認定が相場となっています(例えば,逸失利益の認定が1000万円,生活費控除率が50%の場合,最終的な逸失利益の額は500万円になります。)。①保険会社は,Aさんが高齢であること等から,Aさんの家事業務の逸失利益を否定しましたが,私は,Aさんの健康状態や生活状況を調査し立証することで、逸失利益について裁判所の認定を得ることができました。②加えて,Aさんの年金の受給状況などから,生活費控除をする必要がないとの主張を行い,生活費は控除しないという相場よりも相当有利な認定を得ることができました。③また,刑事記録を用いて,加害者が早期にAさんを発見することができ,事故を回避することが容易であったことを立証し,Aさんの過失を相場の3割から2割に減らすことに成功しました。これらの立証の成功により,約30万円から約1200万円の大幅な増額を得ることができました。
本件では,損害賠償額が自賠責の認定金額を超える場合には,不合理なほど支払いを渋る保険会社の体質を再確認させられ,憤りを感じましたが,綿密な生活調査や関係者の聞き取り調査,判例調査により,最終的には相場を大きく超える認定を受けられることができ,今は安心しております。