この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
亡くなられた長男のご兄弟からの相談でした。「兄が残した借金を、このままでは両親が背負わなければならない。しかし、父は認知症を患っているため、兄が死亡したことを理解できない。相続放棄するにはどうしたらよいか」との相談です。この状況で父親が他界。自宅不動産は父親の所有でした。相談者様と母親は、兄の借金を相続することを避けるため、父の相続を放棄し、自宅不動産をあきらめなければならないのでしょうか。
解決への流れ
長男の借金について、まず母親のみ相続放棄し、父親は成年後見人を付けてから相続放棄する予定でした(認知症のため意思能力なし)。しかし、その途中で父親が他界。父親は長男が死亡したことを知らないまま死亡したことになります。この場合、父親の相続人である母親や相談者様は「再転相続放棄」することで、長男の相続を放棄し、父親のみ相続することができます。ご相談者様と母親は、長男の残した借金を相続することなく、無事に自宅不動産のみ相続することができました。
再転相続放棄は、熟慮期間(相続するかしないかを決める期間のことで、相続人が、相続が開始したことを知ってから3か月以内)内に相続人が死亡した場合と、今回のように相続人(父親)が、被相続人(長男)の死を知らず、熟慮期間が進行する前に死亡した場合に可能です。ただし、父親が死亡してから3か月以内に相続放棄しなければならないため、注意が必要です。