犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

長年にわたり実親の介護を続けてきた相続人について,対相続財産で約20パーセントの寄与分を認めさせた事案(事件の特定を防ぐために一部事案を改変しております)

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我妻 耕平 弁護士が解決
所属事務所虎ノ門法律経済事務所川崎支店
所在地神奈川県 川崎市幸区

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

親が亡くなり,相続が開始したが,これまで親の面倒を何も見なかった兄弟が相続分の平等な割合による分配を求めてきた。相談者は,配偶者と共に婚姻後30年以上も実親と同居し,その面倒を見てきたのに,その事実を何ら考慮しないこの提案には到底納得できない。何とかこちらの言い分を容れた形で遺産分割協議を成立させたい。

解決への流れ

受任後,通帳,家計簿,病院の通院履歴,要介護認定の認定調査書,医師の診断書等あらゆる資料を集めて,依頼者の貢献内容を整理。それまでの被相続人の病歴や介護内容を表にして整理しつつ,併せて細かく主張・証明していくことにより,親御様がなくなる直前に初めて介護認定を受けたにも拘わらず,通常の相場から大幅に上回る,対相続財産で約20パーセントの寄与分を裁判所と相手方にも認めてもらうことができた。

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我妻 耕平 弁護士からのコメント

遺言が存在しない場合における各相続人の相続分は民法900条により法定されており,相続人が子供しか存在しない今回のケースでは,各子供が等分の割合で遺産を取得するのが大原則です。この原則を修正する例外の一つに「寄与分」がありますが,通常期待される程度の寄与を超える「特別の寄与」が要求されています。こと本件のような介護に至っては,要介護認定2級程度が無ければ,それ以前の介護の事実については基本的に斟酌しない扱いとされることが多いです。今回のケースでは,なくなる直前に要介護認定や身体障害者認定を受けているため,本来相続財産の20パーセントもの寄与分は認められられないはずですが,生前の被相続人の通院履歴や,介護の事情を細かく整理して主張することにより,寄与分が発生するだけの「特別の寄与」があったことを認めていただくことができました。寄与分の主張を整理した表についても,「通常の代理人ではここまでのものは作らない」と裁判官にお褒めの言葉をいただくことができ,作業に見合った成果を獲得することができた事案です。