この事例の依頼主
女性
相談前の状況
長い間連れ添った夫を亡くされた奥様からのご相談です。お二人の間にお子さんはおらず、奥様と夫の兄弟が相続人となりましたが、夫に母親の違う兄弟がいることが判明しました。その兄弟は遠隔地に住んでおり、一度も会ったことがないので、どのように遺産分割を進めてよいかわからない、とのお話でした。私がご依頼を受け、遺産分割の交渉をすることとなりました。
解決への流れ
夫の遺産は不動産のみであったため、奥様が単独で不動産を取得する代わりに、適正な額の代償金を支払う内容の遺産分割協議案を兄弟たちに送りましたが、やはり、今まで会ったこともない相続人からの申し出ということで、兄弟たちは態度を硬化させ、協議案に同意しませんでした。私は裁判外での交渉を打ち切り、遺産分割調停を申し立てることとしましたが、普通に申立てを行うと、調停の管轄が、兄弟たちの住所地である北海道となってしまいます。そこで、私は申立ての方法を工夫して、東京家庭裁判所で調停を行うことに成功しました。調停では、代償金の算定方法が適切であること、奥様に支払能力があることを、裁判官と兄弟たちに丁寧に説明し、無事、奥様が不動産を単独取得する内容の審判を獲得しました。
お子さんがいない相続の場合、会ったこともない夫(妻)の兄弟と遺産分割協議をしなければならないケースがあります。その場合、面識のない相続人から突然遺産分割協議を申し込まれる形となるため、相手が態度を硬化させることはよくあります。本件では、弁護士が間に入ることによって、疎遠であった兄弟たちの態度が和らぎ、無事遺産分割の合意に至ることができました。また、遺産分割調停が遠隔地で行われることになると、申立人の負担はとても大きくなります。本件では、申立ての方法を工夫することにより、東京家庭裁判所で調停を行うことができ、奥様の負担を大いに軽減することができました。