この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
営業担当者であった30代の男性が、心臓疾患により急死してしまいました。労働基準監督署の調査では、100時間以上の残業があるものとされ、過労死である疑いが高いと認定されました。幼い子どもとともに残された奥さんが、今後どうしたらいいかとご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
会社相手に、労働者の生命・健康を守るべき義務(「安全配慮義務」)の違反があったとして、裁判を起こしました。会社側は、労働基準監督署の認定は、同僚の聞き取り調査だけで、労働時間の認定に誤りがある。家庭の問題や健康上の問題などが死亡の原因であり、会社に責任はないなどと主張してきました。裁判において、詳細に反論し、会社の上司などの尋問を行った結果、勝利的な和解を勝ち取ることができました。
悲惨な過労死・過労自殺は、まだまだなくなりません。かけがえのない命が奪われないように、まずは長時間労働を減らすべきですが、不幸にも過重労働により亡くなってしまった場合には、労働基準監督署で労災認定を受けて労災保険給付を受ける、それに加えて会社側に損害賠償請求をすることができます(いわゆるパワハラによる自殺等で該当する場合もあります)。この事案でも、ご本人を失った悲しみは消えることはありませんが、遺された家族の生活のため、必要な生活費を労災給付・損害賠償金により確保することができました。一定の労災基準に満たない場合であっても、行政に対する不服申立や裁判で労災として認められる例もあります。実際、当初の認定では、基準に満たないとして労災認定を受けられなかった事案で、代理人として審査請求(=不服申立て)を行うことにより、労災認定を受けることができました。長時間労働の実態がある場合、悲しい結果になる前にぜひご相談いただきたいと思います。