犯罪・刑事事件の解決事例
#借地権

借地権を開発業者に売りたいという申し入れに対する対応、地主さん側の代理人として交渉して双方が納得のいく契約を締結

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鎌田 智 弁護士が解決
所属事務所鎌田法律事務所
所在地東京都 中央区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

地主さんからの相談です。「借地を売りたいので承諾してほしいという申し入れがあったが,内容が複雑なので契約交渉をしてほしい」というご依頼でした。その借地は都内にしては面積が広く,買い取り業者は土地を分割していくつか建売住宅を建築して将来売却したいという意向でした。通常このようなケースでは,①借地権の譲渡に対する承諾料の金額,②新たな地代の額など賃貸借契約の条件変更,③新築建物の建替えの承諾料の金額が問題となります。このケースでは買い取り業者がさらにユーザーに転売することが想定されていますから,④将来業者がユーザーに転売する際の譲渡承諾料の定め方,⑤借地が分割されること,⑥ユーザーとの間の新たな土地賃貸借契約の内容も問題となってきます。借地権の譲渡が将来2段階にわたって行われます。しかも新築する住宅は複数あるのでユーザーに売却できる時期も同じではなく,もしかしたら一部は長い間売れないかもしれません。このように将来の不確定要素が多くあるため契約の仕組みは十分慎重に検討する必要がありました。

解決への流れ

「買い取り業者への一次売却」~「建物の建築」~「ユーザーへの売却」~「売却後のユーザーとの賃貸借」のそれぞれの過程をとおして想定される事態をすべて整理して,ご相談者である地主さんにご説明し,各ポイントについてご相談者様のご希望をよくお聞きしました。そして,この取引をビジネスとして行う買い取り業者側の利益にも配慮して,将来にわたる各取引を網羅するように精密な契約を作りお互い納得できる契約を締結することができました。出来上がった契約書は何通にもわたりました。その中には,「借地権の譲渡後に事情が変わって建物の建築工事が全部または一部頓挫してしまったケース」や「建物完成まではできたけれども売れ残ってしまったケース」などについての対応も含まれています。また,内容をそれにふさわしく改定した新しい賃貸借契約を,どうやって将来のユーザー(最終購入者)との間で確実に結ぶことができるようにするかという点に関する工夫も含まれています。さまざまの事態に適応してなおかつ双方が合理性を納得できる契約締結交渉をスピーディーに行うことができ,ご相談者様から感謝をされました。

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鎌田 智 弁護士からのコメント

将来いくつかの段階にわたって展開される事業について契約を作るのは複雑な作業になります。将来のことで不確定要素が多くなってきますから,事業がどのように進行して行くのか,それに対してどのようなリスクが考えられるのかを漏らさず,正しく把握することが大切です。そのうえで相手方のビジネス上の立場も配慮しながらご相談者様の最大の利益を図っていくことは弁護士として大変やりがいのあることでした。