この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
市場で働いていた方から相談を受けました。その方は会社に対し自分で残業代を請求したが、会社の顧問弁護士が提示してくる金額が非常に低く、増額するよう交渉して欲しいとの内容です。その相談者の方は休憩時間がほとんど取れないほど一生懸命に働いていたのに、その点を会社側が全く認めてくれない点が一番納得がいかないとの意見でした。市場での勤務という特殊な事案であり、会社からどういった反論がなされるか不明でしたが、とりあえず会社に請求することにしました。
解決への流れ
会社の対応が良くなかったので即訴訟提起です。訴訟のなかで、会社は広大な敷地で多数の他の会社の職員が入り混じる市場においては、職員の行動を管理することは不可能であること、職員は配達便に合わせて荷物を準備する必要があるが、それが過ぎればさほど忙しくはなく、自分の裁量で適度に休憩を取ることが十分にできる等の反論をしてきました。そこで、依頼者の方の季節毎の出社から終業までの一日の業務スケジュールを詳細に徹底的に聴取し、解析、分類のうえ、依頼者の方が始まりから終りまで常に様々な業務、雑務に追われていた結果、休憩がほとんど取れなかったことの状況説明を裁判所に行いました。そして、依頼者の方が主張する労働時間が相応に容れられた形での和解を成立させることができました。依頼者の方にも自分が一番主張したかった点が認められたことで大変満足してもらいました。
どの職種でも労働時間を検討するにあたっては、勤務場所での業務の内容や流れ等の概要を把握することは必要になってきます。特に本件では市場というオフィスとは大きく異なる環境での業務内容が問題となっていたため、この点、裁判官が十分イメージしてもらえるよう注力しました。それが良い結果につながりました。