この事例の依頼主
女性
相談前の状況
依頼者は、職場内の人目につかない場所で、上司から胸や尻を触られるセクハラ被害を受け、会社に被害を申し出た。会社が上司に対する聞き取り調査を行ったところ、上司は依頼者に話しかけようとして依頼者の肩に触っただけであるなどとセクハラ行為を否認したため、会社は、上司によるセクハラ行為はなかったと結論づけた。
解決への流れ
会社を相手方としてセクハラ行為に基づく慰謝料を請求する労働審判を申し立てた。会社は、上司が依頼者の体に触れたことは認めたが、依頼者の服装の乱れを知らせるためだったとし、依頼者の胸に触ったことは否定した。しかし、依頼者とは持ち場や担当業務が異なる上司が依頼者に接近した理由や依頼者の服装の乱れを指摘するために依頼者の体に触れる必要性、労働審判申立の前後で説明が変遷した理由などを合理的に説明することはできなかった。その結果、裁判所は会社に対し慰謝料の支払を命じた。
セクハラ行為は、事の性質上、人目を盗んで行われることから、直接的な証拠が乏しいため、被害者自身がセクハラ行為の状況を詳細かつ矛盾なく説明できるかどうかが鍵となります。さらに本件では、依頼者と上司の職場における担当業務や持ち場の違いから、上司が依頼者の体に触れた時刻及び場所に居合わせることの不自然さなどが明らかになったことで良い結果につながりました。