この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
クライアントは,会社から,懲戒解雇事由があると言われて,退職勧奨を受けて,その場で退職届にサインしてしまいましたが,家族と相談して,会社に対して,退職の撤回を求めましたが,会社は,これに応じてくれませんでした。
解決への流れ
クライアントは,退職の意思表示が錯誤無効であるとして,雇用契約上の権利を有する地位の確認を求めて提訴しました。第1審では,クライアントの錯誤無効の主張が認められず,合意退職が認められてしまいました。そこで,控訴審では,錯誤無効について,詳細な事実を主張した上で,予備的に退職金の請求をしました。控訴審では,退職金満額の8割程度の解決金を会社から支払ってもらうことで和解が成立しました。
解雇であれば,解雇が有効であることについて,会社側に主張立証責任がありますが,退職の意思表示が錯誤無効であるとして争う場合,錯誤無効の主張立証責任は労働者側が負いますので,解雇に比べて争いにくくなります。そのため,会社から退職勧奨を受けても,会社を辞めたくないのであれば,決して退職勧奨に応じてはならず,その場で結論を出さずに,一旦持ち帰って,家族や専門家に相談してください。この会社では,退職勧奨に応じて泣き寝入りする方がたくさんいらっしゃる中,クライアントは,勇気を出して,闘ったために,退職金の8割程度の解決金を勝ち取ることができました。