犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #強盗

強盗事件で起訴されるも、弁護活動により執行猶予付き判決を獲得した事例

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磯田 直也 弁護士が解決
所属事務所ルーセント法律事務所
所在地兵庫県 宝塚市

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

依頼者(20代男性・アルバイト)は、生活費に困窮し、路上で一人で歩いていた被害者に対し「金を出せ」と脅迫し、抵抗されたため腕を掴んで押さえつけ、現金数万円が入った財布を奪ってしまいました。被害者は転倒し、軽い打撲傷を負いました。依頼者は事件後すぐに警察に出頭し、強盗致傷罪の容疑で逮捕・勾留されました。強盗罪(特に怪我を負わせた強盗致傷罪)は非常に重い犯罪であり、初犯であっても実刑判決(刑務所に収容されること)となる可能性もある事案でした。依頼者は、自身の犯した罪の重さを痛感し、深く反省していましたが、同時に「刑務所に入らなければならないのか」「今後の人生はどうなってしまうのか」という強い不安を抱えていました。依頼者のご家族も、事態の深刻さにショックを受け、なんとか実刑を回避できないかと当事務所にご相談されました。

解決への流れ

当事務所の弁護士が、直ちに依頼者と接見し、事件の詳細、反省の状況、これまでの生活状況などを詳しく聴取しました。強盗致傷罪の法定刑の重さから起訴は免れない可能性が高いと見込まれましたが、実刑判決を回避し、執行猶予付き判決を獲得することを目標に弁護活動を開始しました。最重要課題は、被害者の方への謝罪と被害弁償(示談)です。弁護士は、検察官を通じて被害者の方に連絡を取り、依頼者の代理人として謝罪の意を伝えました。被害者は、恐怖心と処罰感情が強く、当初は示談交渉が困難な状況でした。しかし、弁護士が依頼者の深い反省の気持ち、困窮していた事情(ただし、それが言い訳にならないことも含め)、二度と罪を犯さないという誓いを粘り強く伝え、また、被害額の弁償に加え、治療費、慰謝料として誠意ある金額を提示し続けました。その結果、最終的には示談に応じていただくことができ、被害届の取下げとまではいかなくとも、「厳罰は望まない」という趣旨の嘆願書をいただくことができました。並行して、弁護士は依頼者が深く反省していることを示す証拠(反省文、ご家族による監督を誓約する書面など)を収集しました。また、依頼者の生活状況や困窮に至った経緯を調査し、酌むべき事情があることを整理しました。依頼者は強盗致傷罪で起訴され、刑事裁判となりました。公判では、弁護士は以下の点を強く主張しました。・被害者の方と示談が成立し、相応の被害弁償が行われ、被害者の方から寛大な処分を望む旨の嘆願書が出ていること。・依頼者が事件を深く反省し、二度と罪を犯さないと誓っていること。・事件が悪質性の低い態様(凶器不使用、計画性の乏しさ)であったこと。・依頼者に前科がなく、家族のサポートもあり更生の環境が整っていること。これらの弁護活動の結果、裁判所は事件の悪質性を認めつつも、被害弁償の努力や深い反省、更生の可能性といった弁護側の主張を総合的に判断し、依頼者に対して懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。これにより、依頼者は直ちに刑務所に収容されることを免れ、社会内での更生の機会を得ることができました。

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磯田 直也 弁護士からのコメント

強盗罪、特に被害者が怪我を負った強盗致傷罪は、原則として実刑判決が予想される非常に重い犯罪です。このような重大事件においても、諦めずに適切な弁護活動を尽くすことで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。本件で執行猶予付き判決を獲得できた最大の要因は、被害者の方との示談を成立させ、被害弁償を尽くしたことです。被害者の方の処罰感情が厳しい中、弁護士が粘り強く交渉し、依頼者の反省の情を伝えることで、最終的に一定のご理解を得られたことが、裁判所の判断に大きく影響しました。また、示談交渉と並行して、依頼者の反省の深さ、更生意欲、家族の支援体制など、有利な情状を裁判官に説得的に示すための証拠収集と主張の組み立てが不可欠です。強盗のような重大事件で逮捕・起訴されてしまった場合でも、決して諦めないでください。早期に弁護士に依頼し、最善の弁護方針を立て、実行していくことが、より有利な判決、そして社会復帰への道を開くことにつながります。ご本人様、ご家族様だけで悩まず、まずは刑事弁護の経験豊富な弁護士にご相談ください。