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解雇の金銭解決「制度を導入すれば、職場復帰への道が閉ざされる」弁護士らが反発
2015年12月05日 11時23分

労働者の解雇をめぐる紛争を「金銭」によって解決しようという「解決金制度」を導入すべきかーー厚生労働省の検討会で議論が進められている。しかし、解決金制度には異論もある。制度導入に反対する集会が12月4日、東京都内でひらかれた。集会では、弁護士や労働者らが、制度を導入すれば不当解雇が横行してしまうなどとして、強く反対の意を示した。

労働者の解雇をめぐる紛争を「金銭」によって解決しようという「解決金制度」を導入すべきかーー厚生労働省の検討会で議論が進められている。しかし、解決金制度には異論もある。制度導入に反対する集会が12月4日、東京都内でひらかれた。集会では、弁護士や労働者らが、制度を導入すれば不当解雇が横行してしまうなどとして、強く反対の意を示した。

●「労働者や労働組合を排除する恐ろしい制度」

「解決金制度」は、裁判で「解雇は無効」という判決が出ても、会社が労働者に金銭を支払うことによって、雇用関係を終了させられる制度。現状では、裁判で不当解雇と認められても、会社が復帰を拒み、結局、金銭を支払って解決するというケースが多い。金銭解決をルール化すれば、解雇をめぐるトラブルを解決しやすくなるというのが、導入の狙いだ。

政府や経済界が導入に向けて議論を進める一方で、労働者側は強い危機感を示している。集会を主催した日本労働弁護団の棗一郎弁護士は「制度が導入されれば、不当解雇された全ての労働者が職場復帰の道を閉ざされることになりかねない。あらゆる労働者や労働組合を排除する恐ろしい制度だ」と述べた。

棗弁護士によると「不当解雇された多くの労働者が、職場に復帰したいと思っている」。しかし、労働者には「働かせてほしい」と会社に求める権利(就労請求権)が認められているわけではない。棗弁護士は「就労請求権がないことで、使用者側はお金は払うが職場復帰を拒める、という法律上の問題点がある。解決金制度の導入は、これを助長させかねない」と指摘した。

さらに、「日本では現状、多様な労使紛争解決システムが確立しつつある」と指摘。訴訟よりも短期間で労働事件を解決することができる「労働審判制度」などをより充実させ、労働者が職場復帰しやすいような制度を構築すれば、解決金制度は不要だと訴えた。

集会には、正社員として7年間働いてきた会社で、妊娠・出産を機に契約社員へと「雇用形態」を変更させられ、その後雇い止めされたという東京都内在住の30代女性が登壇した。女性は、「もし、解雇の金銭解決が制度化したら、子を持つ者の職場復帰を認めない、あるいは、私の場合のように、復帰を認めてもあっさりクビにし、あとは手続きの中で、お金で解決する会社が確実に増える」と語り、解決金制度の導入に強く反対していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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