5485.jpg
「チラシを入れないで!」 張り紙を無視したら犯罪?
2019年04月23日 09時34分

自宅のポストに入れられるおびただしい数のチラシ。中には有益なものもあるが、大半はゴミとなってしまう。広告主や配る人にも事情はあるのだろうが、迷惑なものは迷惑。そこで「ポストにチラシを入れないで下さい」と書く人もいるようだ。

弁護士ドットコムの法律相談に、ポスティングのバイトをしている人が「『ポストにチラシを入れないで下さい』と注意書きを掲示している家に入れてしまったら、何かの犯罪になりますか?」と、質問を寄せた。

「チラシを入れないで」と言っている家に入れた場合、法的には何らかの罪に問われるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

自宅のポストに入れられるおびただしい数のチラシ。中には有益なものもあるが、大半はゴミとなってしまう。広告主や配る人にも事情はあるのだろうが、迷惑なものは迷惑。そこで「ポストにチラシを入れないで下さい」と書く人もいるようだ。

弁護士ドットコムの法律相談に、ポスティングのバイトをしている人が「『ポストにチラシを入れないで下さい』と注意書きを掲示している家に入れてしまったら、何かの犯罪になりますか?」と、質問を寄せた。

「チラシを入れないで」と言っている家に入れた場合、法的には何らかの罪に問われるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

●問題になり得るのは「住居侵入罪」

ーー時折「チラシ禁止」といった住宅を見かけることがありますが、有効性はあるのでしょうか

ポストにチラシを投函することを処罰する法律はありません。厳密に言えば、ピンクチラシに関しては、条例で投函を処罰する地域もありますが、今回のテーマではありませんので、ここでは詳細は述べません。

ーーポスティングについて成立する犯罪はないのですか

ポスティングそのものが処罰されない場合にも,建物や敷地に立ち入る行為について、住居侵入罪が成立するかが問題となります。

住居侵入罪が成立するためには、正当な理由がないのに、他人の「住居」に「侵入」することが必要です。

そして、「住居」には、居住部分だけでなく、共有部分も含まれますので、ポスティングのためにマンションの玄関や廊下に立ち入っただけでも、「住居」に立ち入ったことになります。

また、塀や生け垣で囲まれていれば、敷地も「住居」に含まれます。

ーーポスティングのために入る目的であっても「侵入」に該当するのですか

「侵入」というのは、居住者等(分譲マンションの場合には管理組合)の意思に反する立ち入りのことです。

今回のケースでは、居住者が『ポストにチラシを入れないで下さい』と表示して、ポスティング業者の立ち入りを拒否しているため、「侵入」になる可能性が高いです。

ーー相談者が懸念するように、法令違反の可能性があるのですね

そうです。禁止の掲示がある場所でポスティングをするため、マンションの玄関や廊下に立ち入る行為等は、住居侵入罪となる可能性が高いといえます。

ーーなお、逮捕もあり得るのでしょうか

実際に逮捕されたり裁判で有罪となったりするのかは別の問題です。

最高裁判決には、ビラの配布のために宿舎やマンションに立ち入った行為について、住居侵入罪が成立するとしたものもありますが、政治的な内容のビラを配布しようとしたことから起訴された特殊な事案であるとの指摘もあります。

経済活動の一環としてのポスティングのためにマンションや玄関や廊下に立ち入っても、逮捕されたり処罰されたりすることはほとんどなさそうです。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る